About
ごあいさつ
がんゲノム解析室 室長
ラボディレクター
テクニカルスーパーバイザー
クリニカルコンサルタント
伊藤 健太郎
遺伝子検査の結果は生命予後を大幅に延長させる可能性のある治療につながるため、人生を変えるほどの影響力を持ちます。しかし専門性の高い検査になるため、以前は外注すると２週間～1カ月程度かかっていました。このターンアラウンドタイムが我々臨床医や患者さんにはとても長く、がん種によっては命に関わることもあります。当院の検査室に遺伝子検査が導入された背景には、患者さんの生命予後に関わるような検査結果を１日、2日で出してあげたいという思いがありました。がんゲノム解析室は、患者さんに最良かつ質の高い医療を提供できるように、チーム一丸となって取り組んでいきます。
がんゲノム解析室 技師長
ジェネラルスーパーバイザー
宇城 研悟
検査室のスタッフは日頃から臨床医の先生方が取り組んでいる治療や患者さんが元気になっていく姿をしっかりとみているので、先生方をサポートしたいという気持ちを強く持っています。また、週一回の遺伝子検査のカンファレンスに参加させていただくことで、チームとしての一体感も生まれ、先生方の使命感をも我々は共有しています。
日々、検査の質を向上させ、質の高い検査結果を提供していきます。
組織図
がんゲノム解析室では、血液や体液、手術や生検から得られた検体から遺伝子検査を行い、解析結果を臨床へ生かすことで患者さんの治療に貢献することを目標としています。さらに、検査結果の精度と信頼性を高め、患者さんに質の高い医療を提供するためにCAP（College of American Pathologists：米国臨床病理医協会）認定取得を目指しています。
Staff introduction
スタッフ紹介
がんゲノム解析室では、臨床検査技師4名で業務を行っています。
Inspection items
検査項目
がん遺伝子パネル検査
血液や体液、手術や生検から得られた検体のがん細胞から、数十から数百の遺伝子を同時に解析できます。特定の遺伝子変異が検出されることで、その変異に対する治療が可能になり、患者ごとの「個別化治療」が可能になります。
当院で実施している遺伝子パネルの種類
・Oncomine™ Precision Assay (OPA)
・Oncomine™ Comprehensive Assay v3 (OCAv3)
次世代シーケンス（NGS）という核酸の遺伝情報（塩基配列）を高速かつ大量に具体的に読み取る方法を用いて、OPAでは50種類、OCAv3では161種類のがんに関連する遺伝子を一度の検査で調べることができます。特定のがん種に限らず、多様ながんに対する解析が可能です。保険適用外の検査のため、当院では研究用として使用しています。
・AmoyDx® 肺癌マルチ遺伝子PCRパネル
リアルタイムPCR法を用いて、肺がんに関連した15種類のがんに関連する遺伝子を調べることができます。NGSよりも短時間で結果を得ることが可能です。保険適用の検査です。
デジタルＰＣＲ検査
血液や体液、手術や生検から得られた検体のがん細胞から遺伝子変異を調べる検査です。非常に微量のDNAやRNA検出が高感度に可能なPCR技術であり、リアルタイムPCRより高感度とされています。当院では現在、EGFR遺伝子変異（Ex19del、L858R、T790M、C797S）やBRAF遺伝子変異（V600E、V600K）の検出が可能ですが、今後検査項目を増やしていきたいと考えています。高い感度と精度により、がんの早期発見やすでに検出されている遺伝子変異のモニタリングなどへの応用が進んでいます。保険適用外の検査のため当院では研究用として使用しています。
Achievement list
業績一覧
学会・研修会発表
令和3年度
・当院での呼吸器疾患に対するdPCRの導入経験～臨床検査技師の立場から～
西尾 美帆，第61回日本呼吸器学会学術講演会，東京国際フォーラム，2021.4.23-25
令和4年度
・院内におけるEGFR遺伝子変異検査の有用性
西尾 美帆，第71回日本医学検査学会，ATCホール・ハイアットリージェンシー大阪（ハイブリッド），2022.5.20-5.21
・肺がんマルチプレックス遺伝子検査を成功させるには！？ ～実運用経験からのヒント〜
西尾 美帆，～やってみてわかった！～肺がん遺伝子検査 実践お悩み解決セミナー，Web開催，2022.8.18
・外注ODxTTと院内AmoyDxによる遺伝子変異一致の検討
西尾 美帆，第63回日本肺癌学会学術集会，福岡国際会議場・マリンメッセ福岡，2022.12.1-3
令和5年度
・血漿および胸水を用いたAmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル解析の試み
西尾 美帆，第63回日本呼吸器学会学術講演会，東京国際フォーラム，2023.4.28-30
・今さら聞けないマルチプレックス検査の実際 ～マルチプレックス検査成功率向上のための院内での取り組み～ 技師の視点から
西尾 美帆，理研ジェネシス/Amgen Web Seminar，Web開催，2023.5.15
・当院における肺がん遺伝子検査の取り組み ～院内AmoyDxおよびNGS検査と外注遺伝子検査との比較～
西尾 美帆，第72回日本医学検査学会，Gメッセ群馬・高崎芸術劇場，2023.5.20-21
・市中病院でどう使う？ 〜Genexusの導入から使用経験まで～
西尾 美帆，Ion Torrent World Tour ユーザーグループミーティング2023，富士ソフト アキバプラザ（ハイブリッド），2023.7.15
・cfTNAを用いたAmoyDx肺癌マルチ伝子PCRパネル解析の至適濃度の検討
西尾 美帆，第64回日本肺癌学会学術集会，幕張メッセ，2023.11.2-4
・当院におけるdigital PCRを用いた遺伝子検査の取り組み～感染症検査からがん関連遺伝子まで～
坪内 由妃，第61回中部圏支部医学検査学会，石川県立音楽堂、ホテル金沢，2023.12.2-3
論文掲載
・Refractory response to entrectinib for ROS-1 rearranged NSCLC with concurrent de novo TP53 mutation showing good response to CNS lesion, but poor duration of response: A case report.
Kentaro Ito, et al.
Thorac Cancer . 2023 Sep；14(25)：2622-2626.