当センターの再生医療についてご紹介しています。
当院、整形外科では令和4年1月より変形性ひざ関節症に対するAPS療法(次世代PRP療法)及び損傷した部位(筋肉や靭帯等)に対するPRP療法の再生医療を開始いたします。 再生医療等の安全性の確保等に関する法律」第40条第1項の規定に則り、特定細胞加工物製造届出を行い、細胞培養加工施設としての認可を受け、「再生医療等提供計画」に関する届出を東海北陸厚生局に提出し、2022年に受理されました。これにより当院での再生医療が可能となりました。
再生医療とは、ケガや病気で失った機能を従来の医療ではなく、加工した細胞や組織・血液等を用いてヒトにもともと備わっている修復能力を増大させて治療する方法です。
整形外科分野では、再生医療は組織や血液のような「体細胞」を使用した治療法や体細胞に変化する前の「幹細胞」を用いた治療法が進んでいます。体細胞治療では、血液を用いた治療として患者さんご自身の血液を専用の医療機器で濃縮加工して修復能力が高くなった血小板を作製し患部に注入することで、変形性関節症などの関節痛や炎症を抑えたり、スポーツ選手などに起こりやすい筋肉や靭帯損傷の改善が行なわれています。 「従来の保存的治療では症状が改善されない」、「手術の決心がつかない」等でお悩みの方にとっては保存療法と手術療法の中間的位置付けとして治療の選択肢がひとつ新たに増える形になります。
PRPは血液から血小板を濃縮することにより、血小板に含まれる活性の高い成長因子を多く含みます。血小板は血液1μlに10~40万(個)含まれ、血液全体に占める割合は1%以下と言われています。血小板は、血管が傷ついたとき、傷ついた場所に集まって血を固める働きがあります。その際、血小板から多量の成長因子が放出されます。 この成長因子は、傷ついた組織の修復を促します。血小板の放出する成長因子の効果により、組織の修復が早まったり、治りにくい組織の修復が期待されます。この効果を利用する治療方法がPRP治療(GPSⅢ)です。 長期間にわたる痛みの抑制効果だけでなく、成長因子による軟骨保護効果も期待できる他、ご自身の血液成分だけを使用した治療法ですので、免疫反応が起きにくいという点も大きなメリットです。 一般的に1週間~6ヶ月で組織の修復が起こり始め、治療後2週間~3ヶ月までには効果が期待できるとされています。
PRPをさらに遠心分離・特殊加工することで、炎症を抑える働きをするタンパク質と、軟骨を守る成長因子を高濃度に抽出したものがAPSです。次世代PRPとも呼ばれており、関節の痛みや炎症の軽減、軟骨の変性や破壊の抑制が期待できます。 患者様ご自身の血液から作製したAPSを患部に(対象疾患:変形性膝関節症)注射する治療です。APS作製は医療機器として治療に使用すること(安全性)が厚生労働省より認められた医療機器を使用します。患者様ご自身の血液を試用するため、免疫反応の起きる可能性は極めて低いと考えられます。また、採血と注射のみで終わるため、患者様の体への負担も少なくて済みます。 一般的に1週間~4週間ほどで組織の修復が起こり始め、治療後2週間~3ヶ月までには効果が期待できるとされています。また、海外の治療報告ではAPSを1回注射すると、最大で約24ヶ月の間改善効果が続くとの報告もされています。 但し、治療効果や効果の持続期間については、自分自身の血液を使用するためにその時の年齢や体調等の条件によって治療効果が変わってくること、また個人差がありますので、予めご了承のほどお願い致します。
当院で実施する再生医療は、保険診療の適応外となっています。1関節又は1部位投与につき下記の金額がかかります。
※この治療により確実な効果を保証するものではございません ※万が一治療効果が認めない場合でも施術後の返金には応じられませんのでご了承ください
事前に整形外科専門外来で問診、診察、採血検査、画像診断等を施行し、再生医療の適応を確認した上で、患者様に治療の説明と同意をいただいたうえで治療日を決定します。
APS(自己タンパク質溶液)療法及びPRP(多血血小板血漿)療法は、以下の通り実施いたします。 ◆STEP①:採血 ・患者様の血液を採取します。 ◆STEP②:抽出 ・専用のキットを用いて、採取した血液からAPS又はPRPを抽出します。 ◆STEP③:注入 ・抽出したAPS又はPRPをひざ関節又は損傷した患部に注入します。
※治療当日のSTEP①~③の工程にかかる所要時間は、およそ1時間程度です。
治療後の経過観察のため、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に整形外科担当医師の外来診察を受けて頂きます(保険診療の取り扱い)。問診、診察(治療評価)、必要な場合には画像診断等を行ないます。
松阪市民病院 地域連携課 TEL:0598-23-1515