上部消化管内視鏡検査

概要

食道・胃・十二指腸の上部消化管の検査です。

上部消化管とは食道・胃・十二指腸を指します。口または鼻から内視鏡を挿入し、これらの部位を一連の検査で観察します。昔から「胃カメラ」と言われてきたものです。当日の検査前の食事は控えていただきますが、水や一部の薬は飲んでいただいても構いません。

食事せずに来られた患者さまは、ご希望があれば当日に検査を受けていただくことも可能です。

当センターでは、腫瘍の早期発見・早期治療を目指しており、異常が見つかった方や精査が必要な方には拡大機能(約80倍)付の内視鏡を用いて、正確な診断を積極的に行っています。

食道・胃がんの治療には「外科手術」をはじめ「内視鏡的治療」「化学療法(抗がん剤治療)」など、さまざまな方法があります。内視鏡的治療は外科手術に比べておなかに傷がつかず、胃の機能が保てる上に入院日数も短期間となる利点があります。
当センターでは、内視鏡的治療として内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という治療を積極的に行っています。
ESDは、内視鏡で病変を観察しながら専用の電気メスでがんの部分のみを切除する治療法です。広い範囲にわたる病変でも1度にはがしとることができ、がんの進行の程度や取り残しが無いことも正確に判断できるといった利点があります。ただし、この治療の適応は転移の可能性が極めて低く、ほぼ粘膜内にとどまっていると診断された早期胃がんが対象となります。

早期胃がん・早期食道がんの診断~治療の流れ

早期がんの場合は症状がほとんどないため、健診などの胃カメラによる内視鏡検査で病気によるわずかな変化を見つけ、組織検査(生検)によって診断をつけています。診断後、内視鏡治療が可能かどうかの判断のため、NBI(狭帯域光観察)といった特殊光を用いた画像強調観察技術や拡大内視鏡を用いて適切な治療方針を決めています。

内視鏡的治療の適応と判断して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行います。
内視鏡を胃の中に挿入し病変に目印をつけ、粘膜下層に薬剤を注入して浮かせた状態にして、さまざまな種類の電気メスを使って胃の粘膜(病変部)を切りはがしていきます。

切除後の検査結果次第で、追加で外科治療が必要になる場合があります。

当科の取り組み

当科はここ数年、早期発見・早期治療を目指しESD治療成績も増加しています。

また、医療の技術も急激に進歩しており、それに伴う最新機器の導入も積極的に取り入れています。

EVIS X1:三重県初の光源を導入しました。(2020/7月発売、2020/10月導入)
この光源の特徴は、従来の内視鏡の機能に加えて特殊な光を当て、血管を視認しやすくする機能や、病変の色調や構造の変化を強調させ、病変部の発見をしやすくする機能などが搭載されています。つまり、検査時間の短縮、ESDなど内視鏡治療時間の短縮ができるため、患者さまへの負担の減少につながります。