胆膵内視鏡検査

概要

胆のうや胆管、膵臓といった臓器の検査や治療になります。

胆管は肝臓でつくられた胆汁の通り道であり、肝臓と十二指腸を連結するパイプです。このパイプの間にある袋が胆のうで胆汁を溜めて濃縮する働きをしています。この部分に病気が発症すると、黄疸や高熱、着色尿などの症状が出てくることがあります。これらの臓器は体の奥の方にあるため、症状が出にくく診断や治療が難しいとされています。また、結石による緊急胆のう炎・急性胆管炎、急性膵炎などは治療が遅れると重症化するため迅速な治療を要します。これらの緊急性の高い疾患に対しては、救命救急センターと連携して治療にあたり、緊急の内視鏡的胆管ドレナージや経皮経肝胆道ドレナージを一刻も早く行っています。

消化器がんの中で、最も早期発見と早期治療が難しいのが胆膵領域とされています。このため精密検査を行うにはCTやMRIなど様々な検査を組み合わせて診断する必要があります。主軸となる内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)は、胆管や膵管に病気が疑われる患者さんに対して行います。内視鏡を十二指腸まで挿入して、十二指腸にある胆汁の出口からカテーテルを挿入し、胆管や膵管を造影してレントゲン写真を撮影する検査です。この検査は引き続いて処置ができます。具体的には胆管胆石を摘出したり、胆管腫瘍の組織を採取したり、腫瘍で狭くなった胆管にステントを挿入して黄疸を良くすることが可能です。また内視鏡の中にさらに小型の胆道鏡(内視鏡)を挿入することにより、さらに精密な検査も可能です。当科では、一般的な内視鏡の他に新型のシングルバルーン内視鏡(2018年3月導入)を有しており、これまでは難しかった術後腸管の逆行性膵胆管造影検査にも対応可能です。鎮静剤を用いますので苦痛なく受けていただけます。

超音波内視鏡検査

内視鏡の先端に高性能の超音波がついた内視鏡です。胃や食道などの粘膜側に露出していない腫瘍の評価はもとより、消化管の外にある膵臓や胆管、肝臓やリンパ節の評価も可能です。膵臓は胃の背中側にありますが、胃や十二指腸内まで内視鏡を進めて最も近くから超音波検査による観察を行えるため、従来の腹部超音波検査(エコー検査)では見えにくかった膵臓の全貌の評価が可能です。病気が見つかった場合には内視鏡の中を通る特殊な生検針を用いて組織の採取を行うことも可能です。現在のところ、小さな膵がんについてはこの検査が最も発見率が高いと報告されています。胆膵領域における超音波内視鏡検査につきましては、当科は県下有数の検査件数となっています。
完全予約制のため希望される患者さんは外来受診をお願いします。また、鎮静剤を用いますので苦痛なく受けていただけます。

通常の腹部超音波検査
超音波内視鏡検査
超音波内視鏡写真と手術標本の比較

未だ膵がんや胆管がんは早期発見が難しく予後が大変悪いがんです。当センターでは、膵がん・胆管がんの早期発見、早期治療を目指しております。この領域のがんは健診の腹部エコー検査やCTなどでは発見できないことが多々あります。そのため、健診で膵臓ののう胞性病変(水たまり)や腫瘍性病変、膵管や胆管の口径不整、胆石などが発見された場合は積極的に超音波内視鏡検査や逆行性膵胆管造影検査に進んでいただき、病変の早期発見に取り組んでいます。

検査イメージ図
正常レントゲン画像

正常な胆管像のレントゲン写真です。
肝門部領域胆管狭窄レントゲン画像

肝門部領域胆管がんの患者さんのレントゲン写真です。点線の部分は胆管が癌によって細くなっており、胆管が描出されません。胆汁の流れが悪くなっており、黄疸を来しています。
内視鏡画像

内視鏡を十二指腸まで挿入し、主乳頭(胆汁出口)からカテーテルを挿入して胆管を造影します。
金属ステント留置後内視鏡画像

胆汁の出口から2本の金属ステントが十二指腸に出ているところです。
金属ステント留置後レントゲン画像

左右の胆管に金属ステントを留置し、胆汁の流れがよくなり黄疸は軽快しました。

当科は膵がんの早期発見、診断に力を注いでおり、病変部を検出したあとに組織を採取する超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS-FNA)と県内屈指の検査件数をおこなっています。また当院の誇る病理診断科は県内屈指の迅速性と正診率を有しています。

※原則として病変が見つかった患者さんは1泊2日入院で実施しています。

造影CT画像
膵臓(尾部)に造影されない15mm大の腫瘍が発見されました。
EUS-FNAイメージ図
このように超音波内視鏡を挿入して膵臓の腫瘍を描出し特殊な生検針で腫瘍を穿刺し、組織を回収して診断を行います。
超音波内視鏡下穿刺吸引生検法

※破線内が膵臓
低エコー腫瘍(→部分)を描出し、胃内から穿刺して組織を回収しました。
病理診断は “腺がん” で、膵がんと確定診断され手術となりました。
手術標本写真

※破線内が膵臓
実際の摘出標本です。
→部分に18mmの膵がんを認めます。治癒切除でありました。

胆道がんや膵がんは、その診断や治療の難しさから様々な診療科との連携があって初めて患者さんに最善の治療を提供できると考えています。病理診断科や外科や放射線科と密に連携した集学的治療により治療成績の向上と患者さんの“療養生活の質(QOL)”の改善にもチームとして積極的に取り組んでいます。

スパイグラスデジタル胆道鏡:主に内視鏡的逆行性胆管造影検査(ERCP)の際に併用する新型の小型胆道鏡(内視鏡)です。胆管や膵管内部を高画質で直接観察できるほかに、超小型の生検鉗子やバスケット鉗子なども挿入できるため、直接視認しながら胆管腫瘍の組織採取をしたり、胆管結石を摘出できます。当科では県下でもいち早くこのスコープを導入しており、この新型胆道鏡によるこれまでの検査件数は県下屈指の施設になっています。その有用性から今後はこの直接胆道鏡を応用した治療が幅広く増加していくものと確信しています。

2016年10月導入(胆管がんや難治性総胆管結石の治療の際に有用です)

小型胆道鏡(内視鏡)

極めて細い(直径3.6mm)のため、直接胆管の中に挿入することが可能です。
この小型胆道鏡の中にはさらに超小型の生検鉗子なども挿入できます。細いだけでなく、画質も鮮明です。
胆管造影レントゲン写真

このように親スコープごしに胆管内に挿入します。
親スコープと比較すると細さの違いがよくわかります。
胆道鏡写真

胆管内に結石が確認されました。
このように明瞭に胆管内が確認できます。
胆道鏡写真

胆道鏡の中を通る超小型のバスケット鉗子で結石を捕捉し摘出します。