膀胱がん

1.膀胱癌とは

腎臓で作った尿を貯めておく臓器に発生する悪性腫瘍です。膀胱癌は尿路上皮(腎臓の内部、尿管、膀胱に存在し、尿の通り道にある粘膜)から発生するものが大多数です。全体の80%は65歳以上に発生し、喫煙がリスクとされています。

2.症状

膀胱癌の多くは肉眼的血尿(目で見てはっきりとわかる血尿)を伴います。また、健診などの検査で顕微鏡的血尿(外観は普通だが、検査でわかる血尿)を指摘され、その精査で発見されることがあります。長期間改善しない膀胱炎症状(排尿時痛、頻尿など)を伴うこともあります。

3.診断

基本的に膀胱鏡を行い診断します。尿細胞診(尿の中に悪性の細胞が存在するか確認する検査)も適宜用いて診断を行います。
 膀胱癌と診断された場合、CTや骨シンチ、MRI等の検査を行い、尿管などの尿の通り道にも腫瘍が存在しないか、転移が存在しないか等の確認を行います。

4.病期(ステージ)

粘膜に限局するもの

Ta :非浸潤がん

Tis:上皮内癌
T1 :粘膜の深部まで及ぶもの

粘膜を超えて浸潤するもの

T2 :筋層に浸潤するもの

T3 :周囲の脂肪組織に浸潤するもの

T4 :隣接する臓器に浸潤するもの

5.治療

手術治療

ほとんどの場合、最初にTUR-Bt(経尿道的膀胱腫瘍切除術)を行います。膀胱内の腫瘍を内視鏡で切除し、切除した組織を病理検査(顕微鏡で組織を確認する)へ提出し、病期を確定させます。
それに応じて、追加治療の要不要を判断します。筋層まで腫瘍が浸潤していた場合は、基本的には膀胱全摘出術が必要になります。

薬物療法(化学療法)

転移を有する膀胱癌に対しては、化学療法で治療を行います。抗癌剤、免疫チェックポイント阻害薬、抗体-薬物複合体などを用いて治療を行います。患者さんの年齢や合併症などに合わせて、薬剤の選択や用量の調整を行います。外来投薬か入院投薬かは、使用する薬剤や全身状態に応じて決定します。