腎細胞がん

1.腎細胞がんとは

腎臓に発生する悪性腫瘍です。泌尿器科の領域の中では、前立腺癌、膀胱癌に次いで多い悪性腫瘍です。


2.症状

癌が進行するまでは、基本的に無症状です。近年は、健診の普及により比較的早期の発見が増えています。サイズが大きい腫瘍の場合は、腹部の腫れ、血尿、疼痛、体重減少などの症状を伴う場合があります。


3.診断

超音波検査、CT検査などで腎臓の腫瘍を指摘された場合、その時の患者さんの状態や腫瘍の様子に応じて、造影剤を使用した検査などを行います。必要に応じて、生検検査(針を刺して組織を採取する検査)を行う場合もあります。


4.病期(ステージ)

T1:最大径が7cm以下で、腎に限局する腫瘍

T1a:最大径が4cm以下で、腎に限局する腫瘍

T1b:最大径が4cmを超えるが7cm以下で、腎に限局する腫瘍

 

T2:最大径が7cmを超え、腎に限局する腫瘍

T2a:最大径が7~10cm

T2b:最大径が10㎝以上

 

T3:腎臓周囲の脂肪などへ浸潤するもの

T3a:腎静脈や腎臓周囲の脂肪に浸潤するもの

T3b/c:腫瘍が下大静脈内に進展するもの

 

T4:腎臓を包む筋膜(Gerota筋膜)を越えて浸潤するもの


5.治療

手術治療

腎部分切除術、腹腔鏡下腎摘出術、根治的腎摘除術などがあります。腫瘍の大きさや転移の有無、患者さんの状態に応じて手術法を提案します。
ロボット支援下腎部分切除術が適応となり、希望される場合は、当院では施行しておりませんので、三重大学附属病院などへ紹介しています。

薬物治療(化学療法)

分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、インターフェロン治療などがあります。近年は腎細胞がんの薬物治療は多岐に渡り、様々な薬剤の組み合わせで治療を行います。最新の保険適応に沿って、治療を行っていきます。

その他

動脈塞栓術 … 腎細胞がんを栄養する動脈を人工的に閉塞させます。摘出が不可能な場合や、大きな腫瘍の手術を行う前に行う場合があります。

 

凍結療法 … 小径の腎細胞がんに適応となります。当院では施行していませんので、三重大学医学部附属病院などへ紹介しています。